穂積弁護士が労働組合側の代理人を務めている日本IBM(シニア契約社員制度)不当労働行為事件について、東京都労働委員会が不当労働行為の成立を認め、救済命令を出しました。
この事件は、日本IBMが定年後再雇用に当たって賃金を大幅に切り下げていることに対して、労働組合が処遇改善を要求したのが発端です。賃金切下げの根拠について、労働組合は、パートタイム・有期雇用労働法の説明義務に基づく具体的な説明を求めました。しかし、日本IBMは、抽象的な回答を繰り返すばかりで、誠実に応じませんでした。東京都労働委員会は、日本IBMの対応が労働組合法の禁じる不誠実な団体交渉に当たるとして、誠実な対応と、今後不当労働行為を繰り返さない旨の文書掲示(ポスト・ノーティス)を命じました。
また、会社分割により日本IBMから一部事業を承継したキンドリルジャパン株式会社に対しても、不当労働行為責任の承継を認めて、誠実な対応を命じました。
救済命令の概要はコチラ(https://www.toroui.metro.tokyo.lg.jp/image/2024/meirei2-98.html)、詳細はコチラ(https://www.toroui.metro.tokyo.lg.jp/image/2024/meirei2-98_besshi.html)に掲載されています。
この命令は、事件当事者である日本IBMとキンドリルジャパンだけでなく全ての使用者には、非正規労働者の待遇格差是正要求に対する誠実団体交渉義務があることを明らかにしたものといえます。非正規労働者全体の待遇格差是正につながることが期待されます。